子供が一人で遊んでくれると、家事が進んだり、一息つけたりと、大人も助かりますよね。
それだけでは無く、子供の一人遊びには様々な効果があります。
- 思考力
- 集中力
- 創造力
- 想像力
- 精神的な自立
自分で考える事、工夫をする事でこのような力が付きます。また、自立心を育む事ができる為、私が教員を務める幼児教室でも、ひとり遊びの時間をとても大切にしています。
ただ、生徒さんの中には…
構ってほしいよ〜!教室でも先生と遊びたい!
というお子様もいらっしゃいます。
そのようなお子様でも一人遊びが出来るように促し、未就園児クラスを卒業する頃には皆が没頭できるようになっていきます。
今回は幼児教室で導いている方法や、ご家庭でどのような工夫が有効なのか、玩具の選び方も含めて紹介したいと思います。
ひとり遊びをしない原因
ひとり遊びをしない…と悩んでらっしゃる方にまず確認したいのが、この3点。この辺りに原因があるかもしれません。
- 保育者の関わり方
- 遊び場の環境
- おもちゃの選び方
幼児教室では、「0.1歳クラス」「幼稚園受験-行動観察講座(親子自由あそび)」にて、親子の関わり方についてお伝えしています。そのエッセンスも含めた解決策を紹介したいと思います。
環境作りやおもちゃの選び方は、即効性もある為、一度見直してみましょう。
ひとり遊びを促す関わり方
遊びを妨げる意外とNGな声掛け
お部屋で子供と遊んでいる時に、こんな声掛けをしてきませんでしたか?
- わぁ〜!沢山積めてるね!(積み木)
- 何描いてるの?かわいい!(お絵描き)
- 美味しそう!お皿入れて♪(ままごと)
- 貸して、手を入れるのよ!(パペット)
こちらは、0〜1歳児親子教室の新学期スタート時期によくある自由遊び中の声掛けです。
教育熱心なママ程、積極的に声掛けをされます。気付きを促したり、対話の機会を持とうとされる姿勢自体は大変素晴らしいです。
しかし、子供が「こうしてみよう」と遊び始めた時に、話しかけられる(何か反応がある)と、「え?何?」と遊びに入り込む事ができなくなります。良かれと思って行っていらっしゃる声掛けが、かえって集中の妨げになっている場合も。
思わず「すごい…!」と歓声をあげる事もありますね。でも、その瞬間振り向くと同時に手が止まり…もう続けてくれなかった…。という経験は無いでしょうか?
「赤ちゃんの頃から言葉のシャワーを浴びせましょう」と言われますよね。それは間違いではありません。しかし、0歳児でも自ら興味を持って遊び出した時だけは、敢えて声掛けを控える事も大切です。
まずは見守りに徹する
知育玩具など、本来の意図と違う遊び方をしていると気になるものです。パペットにままごと野菜なんかを入れてると、正しい使い方を教えて楽しませてあげたい…と思いますよね。
効率的に知育に繋げたいと思われるのも、大人の知っている正しい事を教えたくなるのもよく分かります。しかし、それも一旦控えます。(過干渉にも注意。)
何故なら、子供が能動的に遊んでいる時こそ、最も頭を使っているからです。
- こうしたら面白いかも
- これ使ってやってみよう
- 出来なかったなぁ…
- 次はこうしてみようかなぁ?
正しい遊び方というのは、大人の固定概念です。使い方が違おうが、子供なりに頭を働かせて熱中できているのであれば立派な遊びになります。研究の邪魔をせず、思考力・集中力を育ててあげましょう。
東京大学大学院、発達心理学の教授である遠藤利彦先生は、子供のヘンな行動に対して以下のように解説しています。
科学者が仮説を立てて実験するように、子どもは遊びの中でいろいろなことを試しながら世界のことを学んでいきます。
NHKすくすく子育て情報
子供が主体的にやってる遊びには手を出さない方が良いんだね!
信頼関係を築いて距離を取る
子供の行動を認める
見守られていれば、一人で遊べるものの、背後からママ・パパがいなくなると遊べなくなってしまうパターンもありますよね。
そういう場合は、しばらくは付き添ってあげましょう。ここで大切なのが、遊んでいる子供が、すり擦り寄って来たり、声を掛けて来たりした時に「即座に反応する」事です。
- ママー!ご飯ができたよ〜!
- 見て~!ブロックこんな高いよ!
- お船できたよー!(積み木)
このように子供が親を求めて来た時に、最も適切な声掛けが「オウム返し」です。先ほどの呼びかけに対しての適切な返答は…
- ご飯ができたねぇ〜!
- ブロックこんな高いねぇ!
- お船が出来たねー!
と、まずは認めて喜びに共感する事。そして子供の話した言葉をそのまま使って返答する事で、子供は「しっかり話を聞いてくれている」と安心します。
(別の言葉で返事をしていても、このオウム返しが無いと、何度も何度も「ご飯できたの!ご飯できたよ!ご飯…!」とアピールが続く事があります。)
- 見守りに徹する
- 反応を求められたら即反応
- 子供の言葉をオウム返し
このやりとりを繰り返す事で、親子間に信頼関係が構築されていきます。
子供に「ちゃんと自分を見ててくれてる」「自分の話を聞いてくれる」という安心感があると多少離れても遊べるようになってきます。
白梅学園大学の福丸由佳教授は、信頼関係を作るためには、「まず1日5分だけでも良いので意識的に向き合うこと」…と仰っていました。
最初は見守りに徹しつつ、すぐ反応出来る程度に、少しずつ距離を取ってみましょう。(2分離れたら戻る…5分で戻る…10分で…と徐々に長くするのがポイント。)
反応があるまで声掛けは我慢
もし教育熱心なママが対話を行いたい場合、このオウム返しの後からがスタートです。色々言いたくても、集中力・没頭力を上げるには、子供からのアクションがあるまで我慢してあげてほしいです。
- 美味しい!煮たの?焼いたの?
- 〇〇君とどっちが背が高い~?
- この船はどこへ行くの?
こういったやりとりを行うことで、子供の世界を広げる事ができますし、考える力や話す力を育てる事もできますね。子供がリードし、親が付いて行く姿勢であれば、対話もOKです。
具体的に「工夫した点」「面白い点」「本人の頑張った点」を褒めてあげる事で、さらに意欲が育ちますよ。
どうしても誰かと遊びたい場合の対処法
どうしてもママやパパと一緒じゃなきゃ嫌だ…!という子は、並走してあげる必要があります。
その時に大切にしたいのが、主導権を子供に握らす事です。そして遊びの内容を、親が遊んであげる「やりとり遊び」から、手を動かして遊ぶ「創造遊び」に変化させてみましょう。
2~3歳児教室では、机上積み木の一人遊びを行って貰っています。最初は上手に遊べない子も多いので、段階的に導きます。
- 簡単なものを積んでみせる
- 壊すので、壊せたら褒める
- 真似して積んだら褒める
- 「これどこに積む?」と一つ渡す
- 積めたら褒める(具体的に)
- 積み木を一つ渡す(繰り返す)
- 作品が大きくなるのを楽しむ
- 自分で積み木を手に取るのを待つ
最初は積み木を使った「やりとり遊び」の状態です。この時に保育者(親)が自分で楽しんで積む様子を見せ、創造する楽しさを伝えます。
そのうちに真似て積む事が出て来るので、自分で積めた時には褒め、「自分で何か作って遊ぶのって楽しい」と気付かせてあげます。
教室ではその他、絵具(シュタイナーの滲み絵)、粘土に取り組んでいます。2歳児達が没頭し、お部屋がシーンとする風景は圧巻です。
ご家庭での素材は、ブロックでも廃材でも…何でもOK!ただし、二人でしか遊べない遊びは避けましょう。一人遊びがしやすい玩具は下の方で沢山紹介しています。
教室で使用している積み木はこちら↓(第三~六番を使用)。恩物(おんぶつ)とは幼児教育の祖である、フレーベルが作った世界最古の玩具です。少ない刺激でいかに創意工夫が楽しめるか、考える力と集中力を育てます。
ひとり遊びを促す環境の作り方
おもちゃ置き場は整理整頓する
玩具はどのようにお片付けされてらっしゃるでしょうか?大きな玩具箱に全てを収納されてらっしゃる事はないでしょうか?
せっかく面白い玩具を買っても、ぬいぐるみの下に隠れていては、遊ぼうという気が起こりません。(視界に入らないとまず選択肢に乗りません。)
また、木琴の玩具を引っ張り出しても、マレット(叩く棒)は見当たらない…というようなケースも意欲低下を招きます。やりたいことがすぐ出来るよう、整理整頓は大事にしたいです。
モンテッソーリ棚を参考にする
世界三大教育の一つ、モンテッソーリ教育の現場では、開放的な棚の定められた場所に、美しく教具が並べられています。
このように自分で選べる環境が整っていると、能動的に遊ぶ事ができます。
子供が自発的に何度も繰り返し、没頭状態にある事をモンテッソーリでは「集中現象」と呼び、様々な能力が伸びる…とされています。
決まった場所に決まった玩具を常に置く事で、遊びやすくなるだけでなく、お片付けもしやすくなりますね。
我が家も、玩具や教具はをモンテッソーリ風に、棚に収納しています。カラーボックスでも代用できますよ♪
おもちゃをローテーションさせる
いつもの玩具がいつも通り整頓されている事は大切なのですが、同じ玩具ばかりで遊んでいるとだんだん飽きてしまいます。
モンテッソーリ教育では玩具の入れ替えを行います。棚にある玩具は、押し入れ等の目に付かない場所に片づけてしまい、別の玩具と交換します。月1~2回程度でローテーションしてみましょう。
マンネリズムが解消され、新しい玩具を与えた時のように、集中して遊び出す事もよくあります。
その他、よく遊ぶ玩具程、目につかないよう片づけておいて…ここぞという時に出す方法も有効です。(家事をしたい時など)
おもちゃのサブスクリプションを利用する
新しい玩具を与えるとしばらく夢中で遊びますよね。月齢や興味にピッタリであれば尚更です。
しかし、最初は楽しく遊べていても、子供の成長につれて魅力がなくなっていくのが現実です。年齢が上がる程玩具は幅を取っていきます。
高品質な知育玩具を与えたいけれど、卒業する事を考えると購入するのも勿体ないし、物は増やしたくない…という場合、月額制の知育おもちゃレンタルが便利です。
月額レンタルが出来る会社の中で、一番大手なのが【トイサブ!】です。私も使っていますが、質の高い玩具が届きますよ♪
夜のうちに出しておく
これは是非とも取り組んで欲しい…!と思って、質の良い知育玩具や、高級な玩具を用意しても、食いついてくれるかは子供次第です。
「さぁ!今からコレで遊ぼう!」と親が持ち掛けても、子供が能動的に遊び込めないのであれば、知育効果は薄いです。
そこでおすすめしたいのは、夜のうちに「朝起きて来た子供に発見して貰える場所に置いておく」事です。自ら興味を持って遊び出す可能性が高くなります。
お膳立てして置いておく…ただそれだけです。真っ新な画用紙の隣に蓋を開けたクレパスが置かれているのを見つけて、黙々と描き出す、なんて事も起こります。
4歳の娘にもこの手をよく使ってます。
2歳からのひとり遊びにおすすめのおもちゃ
様々なメーカーから魅力的な玩具が販売されていますが、一人遊びに繋がり、繰り返し試行錯誤できる玩具は「創造できる玩具」です。それは案外シンプルなものだったりします。
また、玩具では無いものの、子供が遊びの素材として使うことが出来るものが家の中には沢山あるのでそちらにも触れていきます。
クリエイティブなおもちゃや素材
様々な形に変化させる事が出来、決まった遊び方も無い(=遊び方が無限大)なので一人遊びが捗る玩具です。
- 積み木
- ブロック
- 画材(画用紙・クレヨン)
- 粘土
- 洗濯バサミ
- 廃材
100円ショップのこむぎ粘土セットや、洗濯バサミもおすすめ。(4歳現在でも遊んでいます。)
娘は2歳で与えたニューブロックが大好きで、今もよく一人で遊びます。
手作業のできるおもちゃ
目的が達成出来るまで一人で熱中しやすい玩具です。手指の発達は、脳機能の向上を助けるため一石二鳥です。
- ブロック
- 紐通し(ボード・ビーズ)
- 組立玩具
- ジオボード
- ハンマートイ
ハンマートイは、「本物の小さなハンマー×釘」「ドライバー×ネジ」と発泡スチロールを用意してあげる事でも遊べます。
本物はおもちゃより断然食いつきが良く、娘も発泡スチロールがボロボロになるまで一人で遊んでいました。
このハンマーとドライバーがちょうど良かったですよ♪
ごっこ遊びに繋がるおもちゃ
ごっこ遊びは想像力を働かせる事ができ、言語発達も助けてくれる知的な遊びです。
- おままごと
- 人形やぬいぐるみ
- 車と道路マット
- 線路と列車
- ブロック
小さな人形は、ピタゴラスで作った車に乗せたり、積み木・デュプロ・線路を自分で作ってから、さらにごっこ遊びを展開させたり…と、一人遊びをさらに助長してくれました。
おすすめ出来ないおもちゃ
色んな仕掛けが作ってあったり、光ったり派手な音が鳴ったりと、玩具に遊んで貰えるようなものは、ずっと一人で遊んでくれそうに思えますよね。
しかし、遊び方が一定となりがちな為、食いつきは良くてもすぐに飽きる傾向があります。
自分で手を動かし、頭を働かせ、創造遊びが楽しめるのは、素朴な玩具や素材だったりするのです。
まとめ
困っているママへ
一人で遊んでくれないから…と家事をしながら表面的な返事をしたり、スマホを触っていたり、相手にしないと余計にアピールが強くなってしまいます。
また、「待ってて!」と言い続けて、20分程イライラしながらバタバタ家事をするなんて場面もありますよね。
そんな時は、一旦受け入れて5分子供へ集中する事で、その後15分は静かにしていてくれるというような事もよく起こります。
4歳の娘でも、そういう時あるよ~
↓こちらの本にそういったコツが書かれていて、とても参考になりました!
おわりに
お子様の気質や好みにもよるので、これで絶対に一人で遊べる!とは言い切れませんが、今回紹介した要素である…
- 遊ぶ時の親子の関わり方
- 玩具の並べ方・片付け方
- 玩具のローテーション
- 玩具の選び方
この4点を見直す事で、ひとり遊びがしやすくなります。
玩具には、モンテッソーリ教具に由来したものも多数あります。玩具選びや教具作り、環境整備の参考になる書籍はこちら↓
生徒さんでも我が子でも、一人でじっくり試行錯誤を楽しんでいる姿を見ると、私も幸せな気持ちになります。
この記事を読んで下さった方々も、親子で充実した時間が増えますよう、応援しております。
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