私は幼児教室の教員として、幼稚園受験対策のクラスにも入っています。
幼稚園受験では、「どのように子どもをお育てになられているご家庭か」が問われますので、育て方・家庭の在り方と本気で向き合うことになります。
そして、「育て方・家庭の在り方」は受験する・しないに関わらず全てのご家庭にとって大切なこと。この記事では、具体的にどのようなことに気を付けて過ごせば良いのかを、解説します。
知能面・自立面・社会性・協調性・運動能力の他、ご両親の子供に対する教育姿勢(声の掛け方・接し方など)
2~3歳児の家庭教育
保育内容の充実した保育園に通園していても、幼児教室に通っていても、一番大切なのは家庭の教育力です。
しかし、ただ「家庭教育」と一言で表しても漠然としていますよね。
そこで、この記事では大切なことを、10この項目にまとめました。
- 教育方針を決める
- 生活リズムを整える
- 腸を整える
- 生活習慣と躾(自立心)
- 運動遊びと体力作り
- 知育
- 社会性の向上
- 五感への刺激
- 成長を促す環境調整
- 良好な親子関係
教育方針を決める
家庭はすべての教育の出発点。我が子にどのような人に育って欲しいのか、その為にどのように教育するのか、方針を話し合っておくと、夫婦の足並みを揃える事が出来ます。
- 褒める事・叱る事に一貫性を持たせる事ができる
- 家族の時間をどのように過ごすか明確になる
- 自由遊びや対話の質が向上する
- 予想外の出来事にも柔軟に対応できる
- 幼稚園・学校選びの指針になる
パパに任せて、ママがお出掛けしていたら…テレビを何時間も見せっぱなしだった…という話をたびたび聞きます。

夫婦間で考えを統一すると、「時間を決めて見せよう」「我慢させよう」「質の良い遊びが出来る工夫をしよう」「外へ連れ出そう」と行動も変化します。そういった行動は積み重ねられていきます。
家庭内で方針が統一されていると、子供も戸惑う事がないので、早めから擦り合わせておくに越した事はありません。そして、成長に合わせてアップデートしていきましょう。
生活リズムを整える
起きる時間と、寝る時間は、なるべく毎日一定にしましょう。とは言え、「〇時までに寝かさなきゃ!」と神経質になるのはよくありません。
ここで意識したいのはセロトニンとメラトニンという神経伝達物質がしっかり分泌されるようにリズムを整えることです。
セロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、情緒の安定に欠かせない神経伝達物質です。このセロトニン神経を強くすることが、発達の鍵となります。

また、メラトニンは夜眠くなるのを助け、睡眠の質を高めるホルモンです。セロトニンを原料として生成され、光の弱まり(夕暮れ)と共に分泌されます。

朝日をしっかり浴びてセロトニンの生成を促したら、夕方は間接照明など、落ち着いた明かりの中で過ごすことで、睡眠の質が高められます。
睡眠=脳の発達とも密接です。是非できる範囲で実践してみて下さいね。
腸を整える
腸?いきなり何!?と思われたかもしれませんが、近年「腸脳相関」が注目されています。腸を整えることで、脳に好影響をもたらすのです。
先ほど紹介した、セロトニンですが、実は9割が腸で作られています。その他、やる気ホルモン「ドーパミン」も腸で生成されます。

腸内環境を良くするためには、様々な菌を身体に取り込むことが重要です。0~3歳までは、何でも口に入れるのを容認しましょう。部屋も神経質に掃除しすぎる必要はありません。
3歳を過ぎると、IgA抗体が腸内に菌を取り込むのを止めてしまいます。それまでに、様々な菌を取り込みましょう。また、善玉菌の餌になるような食生活も大切です。
生活習慣と躾(自立)
生活習慣の練習を行い、「自分の事は自分でやる習慣」を付ける事で、自立心を育む事が出来ます。また、生活でのお約束事を教える「躾」も行いたい年齢ですね。
自立が進むと、次はこれをしよう…と見通しを持って動く事も出来るようになります。それは状況判断力など、賢さのベースに繋がっていきます。
- 生活リズムの確立
- 挨拶や返事をする
- お着替え(オムツ替え)
- 靴の脱ぎ履き
- 靴を揃える
- お手伝い(机を拭く等)
- 玩具のお片付け
- お箸の練習
- トイレトレーニング
- 服を畳む
イヤイヤ期の「イヤ!」は「自分でやりたい!」という気持ちから来ている場合があります。
「どうせ失敗するし」「大人がやった方が早いし」と行動を制限せずに、子供一人で出来る工夫をして、この時期を上手く利用したいですね。
躾と聞くと「叱る」イメージがあるかもしれませんが「躾=教える」事です。機嫌良く、必要な事を伝えて一緒に行いましょう。
「ひとりでするのを手伝う」これが、子どもの力を伸ばすスタンスです。
「自分でできた!」につながりやすい、おすすめの靴はこちら↓
運動遊びと体力作り
身体と体力は様々な力の土台となります。また、運動は脳の発達を促します。持久力と学力は比例し、体幹は集中力や学習意欲に繋がります。
- 体を動かして遊ぶ
- 体幹を鍛える
- 走る/沢山歩く
- バランス感覚を磨く
- 全力を出す経験
- 力を調整する経験
- 揺れを感じる遊び
- 目と手の協調
子どもの発達はピラミッドで表現されることがあります。土台となる感覚を育てる為には、しっかりと身体を使って遊ぶことが重要です。
土台がしっかりしていてこそ、運動能力や教科学習を積み上げることが出来るのです。


知育
教室では、療育現場でも用いられる知能検査(田中ビネー式)を用いて、一人ひとりの発達状況(IQ)と個性を把握した上で、お子様と知能開発レッスンを行っています。家庭で行いたい2~3歳児の知育は以下のようになります。
言語面・聞く力・話す力
- 絵本を読む
- 童謡を流す・歌う
- 語彙力を高める
- 文の復唱
- 指示行動
- 簡単なクイズ
言語面の知育は、日頃のやりとり(言葉がけと本人のアウトプットの機会)が最も重要です。起きている間はずっと行う事ができます。
言葉の発達を促す手立てとして、信頼性が高いのが、インリアル・アプローチという手法です。言語発達の専門家(ST)が使うアプローチ方法で、0歳から使用できます。
以下は、「やりとりの7つのスキル」をまとめたものです。是非活用して下さい。

また、是非してあげたいのが「読み聞かせ」。情操教育・言葉の学習・読解力・倫理観等、絵本には沢山の要素が詰まっています。
読み聞かせ方法で、是非実践してほしいのがダイアロジック・リーディング。ただ読むだけでは勿体ないので、思考力を育てる読み聞かせを行いましょう。
▼ダイアロジック・リーディングの詳細が解説されている本
記憶力・思考力・判断力
- パズル
- 絵本
- 記憶
- 分類(おままごとやカードで)
- 自分で工夫させる
- ワークで遊ぶ
おままごとは、「野菜サラダ作ろう!これって野菜かな?果物かな?」と分類・上位概念を教える事に繋げられます。お買い物ごっこは「おにぎりとお魚とトマトを買ってきて」と記憶のトレーニングになります。

記憶の取組は、コップ重ねの中に何が隠れていたかを当てるゲームなども喜びます。その他積んだ積み木をハンカチで隠し、同じように積ませる等も記憶力を高められます。
数概念・図形・空間認知
- 何でも数える
- 数カード
- 百玉そろばん
- 積木
- ブロック
- タングラム
- 図形の玩具
図形は三角形の法則が理解できるような知育玩具から用意してあげるのがおすすめ。タングラムやモザイク積木の他、ピタゴラスやマグフォーマーも、自然と図形で遊べるおすすめ玩具です。
モンテッソーリでは、3~6歳に数の敏感期(何でも数えたくて仕方がない時期)が来ると言われています。ただ、只管それを待つだけではなく、興味が持てるような働きかけは行っておきましょう。
「大好きなおやつ」「積み木」「みかん」など…身近な物や、目に入った物は何でも数えます。
手指の機能向上を促す遊び
手指の機能はそのまま脳機能となります。手先を使える事を狙った知育玩具で遊ぶ方法も一つですが、それだけでは勿体ないので、日常生活で手指を使えるチャンスは逃さずに…!
- 指の分化を進める手遊び
- 紐通し
- 粘土
- 各種ブロック
- ハサミ
- 契り紙
- 工作
- お手伝い
夕飯準備はレタスを千切って貰う、ゆで卵の殻は剥かせる、ピンチハンガーで洗濯物を干す(洗濯ばさみ)等も指先の知育になります。
また、手指の筋力は、後々のお箸や鉛筆(筆圧)にも生きて来ます。沢山動かせるような働きかけを意識してあげましょう。
巧緻性の高さは、「さまざまな学習活動を楽しめるか否か」「繰り返しを要する学習への好き嫌い」へも影響を及ぼすという研究結果もあります。
(参考:J-STAGE|小学生の手指の巧緻性に関する研究: 遊びと学習面からの一考察)
社会性の向上
- 公園で遊ぶ
- 児童館で遊ぶ
- 初対面の子と遊ぶ
- 順番を待つ
- 玩具を譲る
プレスクールで保育に当たっていて、毎年面白い…と思うのが「コミュニケーション方法は教えれば上達する」「子供同士の関わりの中で言語能力は発達する」という事です。

2歳頃になると…
玩具を取ってしまう子に「貸して」を教えると、「貸して」が言えるようになって来ます。「いいよ」「あとで」等も、ケース毎に教える事で習得し、自分で使えるようになります。
「ちょっと待ってみようか」と仲介も必要ですが、「待つ」経験・「少しの我慢をする力」も大切です。

すぐには上手なやり取りができず、根気が必要な場合もあります。
玩具を取って相手の子を泣かせてしまうシーンを見るのは辛いものですが、なるべく同世代の子供達との関わりを持たせてあげましょう。
五感への刺激
情操教育と感触遊び
情操教育を大事にしたい月齢です。感受性の高いこの時期に、様々なものに「触れる」「嗅ぐ」「聴く」「見る」「味わう」体験を重ね、たくさん心を動かしてあげたいですね。
- 砂場(砂遊び・泥んこ遊び)
- 粘土遊び
- 水遊び
- 自然や生き物との触れ合い
- 四季を感じる
- 味覚狩り
- 楽器に触れる
- 台所仕事のお手伝い
- 美術館や博物館へ行く
- 山・川・草原・雪の原で全身で遊ぶ
模倣する事で成長する幼児は、「心のありよう」まで大人の模倣をします。「水が冷たくて気持ちいね。」「みんなで食べるとおいしいね。」等、感じた事を言葉に出す事で、子供の心も育てる事が出来ます。

人間は赤ちゃんの頃から好奇心をもっています。この好奇心を後押しすると、「おもしろい!」「分かった!」「もっと知りたい」という意欲が育ち、学ぶことの楽しさをしることに繋がります。

また、砂・水・粘土等の感触遊びは大脳を働かせる事もできる他、情緒の安定にも繋がる為、成長期で心が不安定になりがちな2~3歳児にぴったりの遊びです。
イヤイヤ期や一次反抗期で扱いが難しい時は、よく川や砂場へ連れて行ったよ。機嫌よく黙々と遊んでくれると親もひと息つけるね。
体験から得る学習
2〜3歳頃は、身近な危険に対して、親が何度注意しても、言う事を聞かない事が多々ありますよね。
時には、小さな失敗を経験させてあげましょう。自分の感覚で身をもって学習する事で、判断力・理解力を養う事ができます。
「転ぶよ~!」と行動を制限するよりも、「転んだら痛かった」と体感させた方が、自分で考えるようになります。
大事に至らない程度に…敢えて失敗させましょう。
成長を促す環境調整
没頭できる環境作り
モンテッソーリ教育の『やりたい事に夢中になる「集中現象」でさまざまな能力が伸びる』という考え方と、脳科学の『地頭は「熱中体験」によって鍛えられる(茂木健一郎氏)』という考え方には通ずるところがあります。
- 好奇心
- 集中力
- 思考力
- 精神的な自立
- 意欲の向上
子供自らが興味を持って没頭し、試行錯誤できる事環境を整えてあげる事で、上記のような力が育まれます。玩具は子供が手に取りやすい位置に片付けましょう。
環境作りの詳細についてはこちら⇒【2歳3歳】ひとり遊びしない子への働きかけと玩具の選び方
玩具はローテーションするのがおすすめ。今は便利なレンタルサービスもあるので活用するのも一つの手です。私も使ってます。
知育玩具サブスクで最大手なのは「トイサブ!」というサービスです。
月額制で定期的に玩具が届くのでローテーションにもぴったり。
公式HPで詳細を確認する⇒知育玩具のレンタル「トイサブ!」
自立を促す環境作り
「生活習慣と躾(自立)」の項目で書いた通り、2歳からは身の回りの事を自分で出来るよう促したい時期です。その為の環境も整備してあげたいですね。
具体的な例としては…
- 玄関に靴置きシールを貼る
- 定位置に玩具を片づける
- 定位置に自分の服がある
- 洗面台に踏み台がある
- 子供サイズの水差しを用意する
洗濯物を自分で片づけられる引き出しを用意したり、お茶が飲みたい時に自分で注げる水差しを(こぼした時用の台拭きも)用意する等。
子供が自分で出来る環境を整える事で、「できる事は自分でやる」習慣が作りやすくなります。
環境整備にはモンテッソーリ教育がとても参考になりますが、親が日頃から「どうすれば我が子が一人で出来るか」を想像する習慣を持ってあげたいです。
健やかな親子関係

健やかな親子関係を築くことか何よりも大切で、家庭が安心・安全であることが全ての土台になります。逆に、今まで書いた事をどんなに頑張っていても、親子の関係性が悪いと、健やかな成長は望めません。
しかし、2〜3歳児は難しい年齢でもありす。自我の発達が早く到来するのに対し、言語や抑制力はゆっくり育つためです。
そこで役に立つのが、ペアレント・トレーニングの考え方です。

ペアレント・トレーニングとは、平たく言えば親子教室のようなものです。
ポジティブな働きかけで、子どもを導く方法を学ぶことで、健やかな親子関係と教育を両立させることができるようになります。
対象年齢は3歳ごろからなのですが、エッセンスは1歳ごろから使う事ができます。
当教室ではオンラインでのペアレント・トレーニングを行っております。Xでも参加者のお知らせしておりますので、是非チェックしてみて下さいね。
おわりに
人格形成のこの時期、取組む際に気を付けたいのは、お子様へはポジティブな声掛けを行う事。自主性を重んじる事。
自主性を重んじるというのは、「子供のやりたい事だけをやる」のではありません。
- 子供自らやりたくなるような工夫
- 楽しめる声掛けや工夫
- またやりたい!と思える褒め方
を行うという事です。
親が熱心になるあまり、無理強いしたり、子供の心に負荷をかけるのはよくありません。親子のコミュニケーションを大切にし、長い目で成長を見守りましょう。
集団生活で困らないように、それ以上に「生きる力」や「学びの土台作り」として、これらは役に立ちます。



























